とたけけミュージックの作曲者について、分かる範囲で考えてみる。

ゲーム

2022年6月17日追記

あつまれ どうぶつの森 オリジナルサウンドトラック 2 の発売に伴って、これまで判明していなかった一部とたけけミュージックの作曲者が明らかになりました!

そのため、判明した情報を一部追記しました。

この記事には、インタビューなどによって判明している公式情報だけではなく、筆者の推測や憶測に基づく内容も含まれています。予めご了承ください。

どうぶつの森シリーズは歴史が長いため、沢山のサウンド担当スタッフが関わっています。

しかし、任天堂のゲームはサウンドトラックが発売されることが稀であり、さらにはサントラのブックレットに作曲者情報が記載されていない場合もあるため、とたけけミュージックの作曲者については分からないことが多いのです。

そこで、この記事ではとたけけミュージックの作曲を担当された方について、備忘録として分かる範囲で纏めてみました。

どうぶつの森(初代)

ラジカセ版の作曲

64版から存在するとたけけミュージック(ラジカセ版)はゼルダの伝説 トワイライトプリンセスや大地の汽笛、Splatoonシリーズなどの作曲を手掛けた峰岸透さんが作曲されています。

※スタッフクレジットでは「インドアBGMコンポーザー」として、峰岸さんの名前が掲載されています。また、以下のインタビュー記事でも、峰岸さんがとたけけミュージックの作曲について振り返りながら語っています。

ただし、「もりのせいかつ」と「けけソング」の2曲については、とたけけミュージックとなる前にすでに原曲がある点に注意が必要です。

まず、「もりのせいかつ」は初代どうぶつの森の「タイトル」(永田権太さん作曲)のアレンジとなっています。また、「けけソング」については初代どうぶつの森よりも前の作品(例:ゼルダの伝説 夢をみる島)で、戸高一生さんが参加された作品でも聴くことが出来ます。

ライブ版の編曲

さて、とたけけミュージックにはとたけけの弾き語りのライヴ版があります。そして、こちらのライヴ版については戸高一生さんが作曲されたと考えられます。

その根拠が、Nintendo Online Magazine No.36に掲載されたどうぶつの森サウンドスタッフへのインタビューです。

このインタビューの中で、サウンドディレクターを担当した戸高さんが

すでにある曲のアレンジとか展開を担当していたんです。2週間で58曲を作らなくちゃいけなくて、時間がないので、もう電車の中とかで作ってました(笑)。

Nintendo Online Magazine No.36 より引用

と述べています。

この「58曲」という数字は64版のとたけけミュージックの数と一致するため、恐らく峰岸さんがラジカセ版を作曲→それを戸高さんがとたけけのギター弾き語りVer.に編曲という形で作られていったと考えられます。

また、この点についてはサウンドトラックのクレジットも参考になります。

まず、とたけけミュージック版の音源(けけボッサ)が収録されている「NINTENDO SOUND SELECTION VOL.1『PEACH(HEALING MUSIC)』」では峰岸さんの名前のみがブックレットに記載されています。

「NINTENDO SOUND SELECTION VOL.1『PEACH(HEALING MUSIC)』」には他にもいくつかどうぶつの森BGMが収録されており、特に任天堂スタッフの演奏による「初代どうぶつの森 メインテーマ」のスペシャルアレンジは本当に素晴らしいので、とてもオススメです!

それに対して、ライヴ版の音源(29曲)が収録されている「どうぶつの森 オリジナルサウンドトラック とたけけミュージック 2」ではクレジットが戸高さんと峰岸さんの連名となっています。

※けけボッサのライヴ版音源はとたけけミュージック 2ではなく1のCDに収録されています。そのため、本当は1のCDの作曲者情報を掲載したかったのですが、残念ながら調べても情報が見つからなかったため、ここでは2の作曲者情報(ヨドバシ・ドットコムの商品情報に基づく)を参考にしています。

このことも峰岸さんがまずラジカセ版を作曲し、それを戸高さんがとたけけのギター弾き語りVer.に編曲したという流れの裏付けといえるでしょう。

因みに、けけボッサのライヴ版は他にも街森のサントラCD「どうぶつの森 森の音楽会 」や劇場版どうぶつの森のサウンドトラックにも収録されています。特に、劇場版どうぶつの森のサウンドトラックでは、戸高さんによる「けけボッサ」のオーケストラアレンジなども聴くことが出来るので、「けけボッサ」が好きな方にオススメです!

どうぶつの森 e+

どうぶつの森e+では、かんがえちゅう、けけディキシー、けけガムラン、けけだいみょう、アルペンそんぐ、ふなうた2001、ナポリタン、けけビリー、けけけいじ、けけおんど、けけメタルの11曲が新しく追加されました。

この内、「けけメタル(ラジカセ版)」については「NINTENDO SOUND SELECTION VOL.2『KOOPA(LOUD MUSIC)』」において、峰岸さんの作曲であるとクレジットされています。

おいでよ どうぶつの森

おいでよ どうぶつの森で追加されたとたけけミュージックは、「はるのこもれび」「おととい」「ブルーおにぎり」の3曲です。いずれも、とたけけのレパートリーに無い曲をリクエストした時に演奏してくれます。

この内、「ブルーおにぎり」については Nintendo Dream Vol.182に掲載されているインタビューで戸高さんが作曲されたことが明かされています。(このインタビューではどうぶつの森シリーズの作曲に関する他の情報も色々と明かされていてとても面白いので、是非読んでみてほしいです!)

また、おいでよ どうぶつの森のスタッフクレジットにおいてBGM担当(Music)として記載されているのは戸高さんのみなので、残り2曲についてもライヴ版は戸高さんの作曲であると考えられます。

因みに、どうぶつの森シリーズのスタッフクレジットでBGM担当(Music)のクレジットが戸高さんのみなのは、この「おいでよどうぶつの森」と「どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー」の2作品のみです。そのため、戸高さんの曲を沢山聴きたい!という方は、この2作品がオススメだと思います!

(この2作品はギターや穏やかなシンセサイザーの音をメインにした曲が多く、素朴でノスタルジーな雰囲気がより強く出ている点が特徴的で、個人的にも凄く大好きです。)

街へいこうよ どうぶつの森(2022年6月17日追記)

街へいこうよ どうぶつの森で新たに追加されたのは、「けけハウス」「けけのソナタ」「うたたねのゆめ」「おさんぽ」「どうぶつのしま」の5曲です。

街森の音楽については、前述したNintendo Dream Vol.182に掲載されているインタビューで詳しく語られています。

このインタビューによると、今作の新曲2曲はゼルダの伝説 スカイウォードソードやSplatoonのシオカラーズなどの楽曲を手掛けた藤井志帆さんと、ゼルダの伝説 ブレスオブ ザ ワイルドやとび森のメインテーマなどの楽曲を手掛けた片岡真央さんが担当したと明かされています。

この内、「けけハウス」藤井さんの作曲であるとインタビューで語られているため、残った「けけのソナタ」片岡さん作曲だと考えられます。

(個人的に、「けけハウス」は都会的でありつつも、懐かしくて穏やかな雰囲気が同時に感じられて故郷を思い出すようなノスタルジックな気分にさせてくれる点が、同じ作曲家さんのシオカラーズの曲やスカイロフトの曲に通じるところがある気がしてすごく好きです。)

また、インタビューの内容で気になった点として

──新曲でいえば、「けけミュージック」も前作から増えていますよね。

戸高:実はそれもこの2人が担当したんですよ。

片岡:(戸高さんを見ながら)ギターなどはかなり指導を受けました。

Nintendo Dream Vol.182 より

というやり取りがあります。この部分について、個人的には「片岡さんがとたけけミュージックを制作する上で、ギターの知識について戸高さんに教わった」と解釈したのですが、そうだとすれば少し疑問に感じる点があります。なぜなら、ラジカセ版の「けけのソナタ」はピアノの独奏となっており、ギターが登場しないからです。

ここからは勝手な憶測ですが、戸高さんがライヴ用にギター弾き語りVerを編曲していた初代とは異なり、街森では作曲者がライヴ版の編曲にも深く関わっている可能性があるのではないかと思いました。

続いて、とたけけのレパートリーに無い曲をリクエストした時に演奏してくれる「おさんぽ」「うたためのゆめ」「どうぶつのしま」の3曲については、戸高さんを含めた3人で分担したことがインタビュー内で明かされています。そのため、曲の雰囲気などから、誰がどの曲を担当したのか予想してみるのも面白いかも!と思いました。

(個人的には、リズムがはっきりしていて思わず口ずさみたくなる親しみやすいメロディーが特徴的な「おさんぽ」が藤井さん、音数が少なくシンプルな美しさが特徴の「うたたねのゆめ」が片岡さん、どうぶつの森+の島BGMのアレンジである「どうぶつのしま」が戸高さんの作曲だと勝手に予想しています。)

2022年6月17日追記

「おさんぽ」と「うたたねのゆめ」のライブ版の作曲を担当された方について、「おさんぽ」が藤井さん、「うたたねのゆめ」が片岡さんということが明らかになりました。

また、「けけのソナタ」「けけハウス」について、それぞれ片岡さん、藤井さんがライヴ版の編曲も担当されていることが明らかになりました。

とびだせ どうぶつの森(2022年6月17日追記)

とびだせ どうぶつの森で追加された新曲は、ミニマルおんがく、けけハリウッド、けけマハラジャ、けけロマ、けけのミロンガ、けけグルーヴ、けけじょんがら、けけフラメンコ、けけボレロ、けけアイドル、けけトロニカ、けけディスコ、ドライブ、さよなら、どうぶつのまち、きみのたんじょうびの16曲です。

この内、YAMAHAより発売されているピアノ楽譜によって、「きみのたんじょうび」「けけディスコ」については戸高さんの作曲であることが判明しています。

因みに、「きみのたんじょうび」についてはとたけけにリクエスト出来るのはとび森が初めてですが、e+でも誕生日の日に条件を満たすと特別なライヴが開催され、とたけけがこの曲を弾いてくれます。

また、「けけアイドル」は、マリオカート8やARMSなどの作曲を手掛けた朝日温子さんと、戸高一生さんの連名になっています。これについては憶測となりますが、初代どうぶつの森の例を踏まえて考えるならば、朝日さんがラジカセ版を作曲しそれを戸高さんがライヴ版に編曲した可能性があるのではないかと考えます。

続いて、とたけけのレパートリーに無い曲をリクエストした時に演奏してくれる3曲について、「どうぶつのまち」は街森のサントラCD「どうぶつの森 森の音楽会」にボーナストラックとして収録されていた「街の広場 -けけライヴver.-(戸高さん作曲)」とほぼ同じであることから、戸高さんが作曲を担当されたと考えられます。

因みに、Nintendo Dreamのインタビューによると、この曲の原曲である街森の街の広場BGMは昼Ver.が戸高さんの作曲、そしてそれ以外の時間帯については藤井さんと片岡さんが担当されたと明かされています。

残り2曲の作曲担当者は不明ですのでここからは勝手な憶測となりますが、街森の例を踏まえるならば朝日さんと片岡さんが分担して作曲を担当した可能性があるのではないかと考えます。

(そうだとすれば、個人的にはお洒落で明るい雰囲気が特徴的な「ドライブ」が朝日さん、シンプルなメロディーや曲構成が特徴的な「さよなら」が片岡さんの作曲だと勝手に予想しています。)

2022年6月17日追記

「ドライブ」と「さよなら」のライブ版の作曲をされた方について、「ドライブ」が朝日さん、「さよなら」が片岡さんということが明らかになりました。

また、「ドライブ」と「さよなら」を除く、新曲のライブ版編曲戸高さんが担当されていることも明らかになりました。

あつまれ どうぶつの森(2022年6月17日追記)

あつまれ どうぶつの森で追加された楽曲は、発売日時点でリクエスト出来る曲としては「みんなあつまれ」、そしてアップデートで新たに追加された楽曲が「けけロイド」、「けけポルカ」「けけバッシュメント」、「けけホーミー」「けけラヴァーズ」「けけダブ」「けけブレイク」「けけフーガ」「けけスラッキー」「けけショーロ」「けけホップ」「チルウェイブ」の12曲、レパートリーに無い曲をリクエストした時に聴けるのが3曲となっています。

この内、「みんなあつまれ」は、メロディー&楽器構成が今作のオープニングテーマとほぼ同じです。ただ、オープニングテーマの作曲はゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドやマリオカート8などを担当した岩田恭明さんだと明かされていますが、「みんなあつまれ」が収録されているとたけけミュージック集に岩田さんの名前がクレジットされていないのが個人的には気になりました。

ここからは勝手な憶測ですが、「みんなあつまれ」については、ラジカセ版の編曲者、そしてライブ版の編曲者が、原曲である「オープニングテーマ」の作曲者とは別に存在する可能性があるのではないかと考えます。ただし、これはあくまで憶測なので、本当のことは今後のサウンドトラック等の情報を待つしかありません。

2022年6月17日追記

アップデートで新たに追加された楽曲について、「けけロイド」「けけブレイク」「けけショーロー」土肥紗也子さん「けけポルカ」「けけバッシュメント」「けけホーミー」「けけラヴァーズ」「けけダブ」「けけフーガ」「けけスラッキー」「けけホップ」「チルウェイブ」の作曲が永田しのぶさんレパートリーに無い曲をリクエストした時に聴ける3曲上記追加曲のライブ版戸高さんの作曲であることが明らかになりました。

また、「みんなあつまれ」の「ライブ版」の編曲を担当された方は、戸高さんだということが明らかになりました。

まとめ

ここまで見てきたように、とたけけミュージックの作曲者については明らかになっていないことがまだまだ多く、今後情報が明かされていくのを待つしかありません。

とたけけミュージックはどれも本当に素敵な曲ばかりで、さらにゲームを遊んだ多くのプレイヤーに聴かれているという点で知名度や影響力も大きいと思うので、作曲の裏話などをもっと色々と知ることが出来たら良いなぁと個人的には思っています。

コメント  お気軽にどうぞ

  1. Chubby Bub より:

    (I know very little Japanese so I read this using a translator. I hope my comment can be understood as well.)
    This is a very well-done overview. I’m glad to see there are other people as interested in this as me. We have a lot of respect for Nintendo’s composers, if only they would get the credit they deserve more often…

    I’ve also found some of this information and come to similar suspicions and guesses about the composers for some of the other songs.

    Firstly, what’s interesting is that in the Nintendo DREAM interview, Totaka says he wrote Stale Cupcakes (ブルーおにぎり) near the end of the development of Animal Crossing: Wild World (おいでよどうぶつの森) on DS, but the live version of that song as well as Spring Blossoms (はるのこもれび) and Wandering (ほうろう) were the “hazure” songs in Doubutsu no Mori e+, so maybe he got confused. Also, Spring Blossoms was a rearrangement of the Cherry Blossom Festival music from the original Doubutsu no Mori, which got changed for the western release and e+; that music, as “Event BGM”, was composed by Shinobu Nagata. I also think it is likely Toru Minegishi wrote the new songs in e+, except for Marine Song 2001 (ふなうた2001), which was Kapp’n’s Song (カッペイの歌) in Doubutsu no Mori+ and probably, in my opinion, composed by Totaka, who has done Kapp’n’s sea shanties in the later games.

    Then, in AC City Folk (街へいこうどうぶつの森), it’s not really clear who rearranged the instrumental versions of the previous hazure songs. And while for that game Totaka arranged the live version of K.K. Island (どうぶつのしま), I think it is possible Kenta Nagata composed the original track on the GameCube as “Field BGM”, especially since it has the leitmotif from the Title Theme and hourly music, which he did compose.

    For New Leaf (とびだせどうぶつの森), sadly we have the least clue. But I personally suspect Atsuko Asahi was responsible for at least K.K. Adventure (けけハリウッド), K.K. Oasis (けけマハラジャ), K.K. Bazaar (けけロマ), and K.K. Synth (けけトロニカ). This reason is a lot more speculative, but it is because these songs have leftover early versions in their data in the game files, and this was one of Asahi’s first games to write music for. Also, based on what we already know and their personal musical styles, I suspect Kataoka wrote most “outdoor music” and Asahi did most “indoor music”. (In an interview in Famitsu from around when the game came out, Totaka surprisingly said he himself didn’t compose many new songs for that game.) The good news is that four songs, K.K. Groove (けけグルーブ), K.K. Synth (けけトロニカ), Drivin’ (ドライブ) and Welcome Horizons (みんなあつまれ) will be included on the vinyl LP releasing in November, so maybe we will know the artists for those instrumental versions.

    I hope this long comment and it being in English wasn’t a bother. 🙂

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