ゼノブレイド3 感想

ゲーム

この記事には、ゼノブレイド3のクリア後までのネタバレが含まれています。閲覧の際はご注意ください。

ゼノブレイド3は大好きなゲームなのですが、自分の中で中々思いが整理出来ず…

しかし、予約した「アイオニオン・モーメント」が今日届き、読んでいるうちに「やっぱり自分の思いをどこかに綴りたい!」という思いが強くなったので、感想として纏めてみることにしました。

本編をクリアしたのが一昨年の8月なのでかなり時間が経ってしまい、加えて上手く言葉にすることができていない箇所も多々ありますが、どうぞ宜しくお願いします。

前に進むことの大切さに気付かされたストーリー

ゲームだからこその共感

ゼノブレイド3のストーリーは、自分にとって凄く共感できる話でした。

※ここでいう共感は、「言っていることが正しい、納得できる」というだけではなく、「同意はできないけれど理解はできる」といった感情も含みます。

しかし、改めて振り返ると、それは少し驚きでもあります。なぜなら、今作の敵であるメビウスは、基本的に良心が全く無い究極の悪役だからです。

振り切ったキャラクターはそれはそれで魅力的なのですが、「自分とはちょっと違うなあ」という思いがどうしても先行してしまい、共感できたことはこれまであまりありませんでした。

それでも私が今作に共感できたのは、メビウス達の根底にあるのが、恐怖といった誰の心の中にも存在している思いだからです。 

私自身もずっと、「自分やその大切な人が死ぬこと」に対する恐怖を抱えて生きてきました。

「未来は不確かなものであり、何が起こるか分からない恐怖と隣り合わせ。だからこそ、永遠の今が続けば良いと願う」…その思いは、私の中にも確かに存在しています。

そして、今作はこの「恐怖や欲は誰の心にもある」という点を、物語できちんと掬い取っている点も大好きです。即ち、物語の台詞でも触れられるように、今作の主人公であるノア達の中にもこの恐怖の感情が確かに存在しているのです。

ウロボロスであるノア達は、何事にも怖がらずに進み続けた訳ではありません。

「成人になれば仲間の命が失われる」という彼らが抱える恐怖は、物語を通して何度も繰り返し描かれます。それは、メビウスを生み出した「世界が消えて、上手く再生されなければ、自分や大切な人の命が失われる」という恐怖と、本質的には同じです。

それが特に顕著なのが、ノアとエヌの物語。

志半ばでミオが成人の儀を迎えた時、私は「もし手段があるのであれば、絶対にミオを助けたい!」と強く思いました。

その後直ぐに、ミオを救えない悲しみを繰り返した”過去のノア”、そしてエヌを知った時、ハッとしたことを覚えています。

即ち、あの時自分がノアとして感じた思いは、エヌがメビウスになることを決断した時に感じていた思いと、正に同じだったのです。

自分の中にもメビウスはいる。客観的な視点ではなく、主人公と一緒に主体的に物語を進めていけるゲームだからこそ、それを強く実感できて、私は今作の物語を「自分事」として捉えることができました。

個人的に、メビウスとノア達、どちらも「生きたい」という命への思いは同じだと思います。

ただ、メビウスは自分と大切な人の命の尊さしか見ていません。だからこそ、他人の命を貪ってでも永遠を求め、そして命の日時計のような残酷で自己中心的なことができるのだと感じます。

一方、ノア達はそれだけではなく、この世界に生きるみんなの命、そして、これからの未来に生まれる命の尊さも考えています。

その行為が正しいか否かはさておき、自らオーバーヒートによる消滅現象を引き起こし、エヌを倒そうとしたランツとセナの自己犠牲の心は、正にその象徴だと思います。

だからこそノア達は、メビウス達の思いも含めて、全てを受け止めたうえで、不確かな未来に向けて歩みを進める決断が出来たのだと、個人的に思っています。

つまり、メビウスは恐怖の象徴であり、ウロボロスは勇気の象徴なのではないでしょうか。そして、「恐怖を受け止め、それでも前に進むこと」が勇気であるならば、この2つの感情は互いに不可分だといえます。

こうしたノア達とメビウス、とりわけエヌの違いは、「おくりびととして、誰かの思いを受け取ること」「クエストを通じて沢山の人と出会い、その思いを知ること」…こうした経験の積み重ねによって生まれたのだと感じました。

そして、それはノア達だけではなく、プレイヤーである私自身も”ゲームの遊び”として体験しているものです。

この作品を遊ぶまでは、自分もエヌだったのかもしれない。そう思うと、作品を通して自分の心が変化したことを実感できて、ゲームだからこその感動を味わうことができました。

1・2から独立した物語

今作を遊ぶ前、私は1と2を遊んだことが前提の話なのかな?と思っていました。

しかし、実際に遊ぶと、確かに3の世界は1と2が融合しているものの、物語自体は1・2について深く語ることは無く、あくまでノア達の物語として完結していることにとても驚きました。

特に、過去作との繋がりについては、物語上必要な最小限の開示にとどまっていたことに、少しだけモヤモヤを感じたことを覚えています。

しかし、DLCの新たなる未来を遊び、サントラのブックレットとアートワークを読んだ後は、考えが変わりました。

ゼノブレイド3は、自立した新しい世代の物語

だからノア達は、「過去にこんなことがあったから」「先人たちからこう教わってきたから」ではなく、自分で考え、行動し、決断していく。

そのことに意味があるし、だからこそ、1つの物語として独立していることが愛おしいと感じるようになりました。

かといって、ノア達は過去作の物語を背負っていないのかというと、そんなことはありません。

新たなる未来を遊んで、3の世界のベースには確かに過去作の空気が流れていて、そしてノア達には過去作で繋いできた想いが受け継がれていると、改めて感じることができました。

そのため、よりゼノブレイド3の物語が好きになれた気がします。
(そして、そうやって想いが明確に受け継がれていることをノア達は深くは知らず、知っているのはプレイヤーだけというのもまた良いなあと感じます。)

この喩えが合っているのか分からないのですが…私は最初、ゼノブレイド3は我が子を見守るような味わいの物語なのだと思っていました。

ですが、そうではなくて孫(やその子孫)を見守るような味わいの物語だったのだと、今思うと感じます。
(そして、どちらかというと、我が子を見守る物語は新たなる未来のほうだった気がします。)

ゼノブレイド3の物語は1・2から独立しているとはいえ、ニアちゃんとメリアちゃんに再開できたときはとても感動しました。最初は成長したなぁ…と時の流れに感慨深い気持ちになったけれど、だんだん変わっていない部分が見えてきてとても嬉しかったです。

メリアちゃんの威厳たっぷりなカッコよさ…からのスターライト・ニーがとても可愛い!

女王様らしく振る舞おうと頑張っているけれど、時々素が出てしまうニアちゃんがとても可愛い!!

本当に最高でした!!!

誰でも面白さを嚙み締められる戦闘システム

今作の戦闘システムで自分が一番良いなあと思った点は、「回復役のヒーラーが戦闘不能になると、基本的に倒れた味方を助け起こせなくなる」点です。

私はゲームは大好きなものの、上手かと言われると、あまり得意ではなく…

そのため、これまで「戦闘、凄く楽しい!大好き!!」とは感じていたものの、ヘイト管理キャラの役割分担など、細かい部分にはちゃんと意識を向けることができていませんでした。

ですが、今作では前述した仕様のおかげで、ヒーラーがやられると、一気に状況が不利になります。

これを防ぐためには、ヒーラーの体力が削られないように、別の誰かに攻撃を受けてもらうことが必要です。

そのため、不器用な自分でも自然とヘイト管理に意識が向くようになり、結果として、「アタッカー」「ディフェンダー」「ヒーラー」の役割分担も意識できるようになりました。

おかげで6人戦闘でも誰が何をすべきか明確になり、複雑さを感じずに遊ぶことができました。

加えて、戦闘中にいつでも操作キャラクターを切り替えられることも、6人の役割分担を意識する楽しさをより高めていて良いなあと感じました。

そして、今作の特徴でもあるウロボロスの遊びも、戦略性があってとても楽しかったです。

ウロボロス中は無敵なので、敵が瀕死技を放とうとしているときにその直前でウロボロスになっていると全滅を防げたり、何よりウロボロスの変身や技がとてもカッコ良かったり、とても気持ちよく遊ぶことができました。

また、今作では、戦闘パートとムービーシーンのつながりが、これまで以上に凄く自然に感じられたのも良かったです。

具体的には、何度かあった、戦闘パートで相手のHPを0にした後に、ムービーでノア達がピンチに陥る場面。

さっきまで互角に戦っていたのに、ムービーでは急にピンチに陥っている…となると、どうしても違和感を感じてしまいます。

しかし、今作では、戦闘パート終了 →互角の戦いムービー(自分だけでなく相手もやられていたりする)→ノア達不利ムービー というようにちゃんと段階を踏んでいるので、自然に感じられました。

世界に寄り添った繊細な音楽

今作のBGMでは、特にイベントシーンの曲が大好きです。

繊細で、切なくて、でもどこか温かく包み込んでくれるような優しい曲が多くて、とても耳に残りました。

個人的に一番好きなのが、「過ぎ去りし温もりの日々」

最初にメインテーマのおくられる命を聞いた時は、高い音のミオの旋律が印象に残っていました。

でも、この曲をゲームで何度も聴くうちに、だんだんとノアの旋律も大好きになってきて…

だからこそ、ラストシーンでこの曲のフレーズ、おくられる命の「ノアの旋律」が流れたときは本当に感動しました。

世界は元に戻り、アイオニオンとその人々は消えてしまったけれど…

でも、冒険で奏でたあの旋律が、生まれ変わった世界でも聞こえてくる。

そしてその旋律は元々の世界に存在したものではなく、”アイオニオンのノア”が、あの世界と向き合い、作りだしたもの。

だから、アイオニオンでの冒険は無かったことになった訳ではなくて、確かに彼らの心に刻まれていると思えて、このゲームを遊んできて良かったと感じたのを覚えています。

終わりに

ゼノブレイド3を遊んだ思い出は本当にかけがえのないものだったなあと、時間が経った今、改めて感じます。

それと同時に、また新しい世界を見てみたい、新しい冒険をしたいという思いがどんどん湧いてきているので、次の作品がとても楽しみです。

コメント  お気軽にどうぞ

  1. 匿名 より:

    とても共感。私もゼノブレイド3の雰囲気・メッセージがとても大好きです。
    物語のEDを迎えた時、ソレに気付きました。

    • いちりん より:

      コメントありがとうございます!
      遊んだ時の感動が忘れられず、どうにか言葉にしたいと思っていたので、共感していただけてとても嬉しいです。
      人間らしい色々な想いや葛藤が詰まっていて、過去作を遊ぶとより味わい深くなり、そして考える余白があるこの作品の物語は、とても素敵だと思います。

  2. 匿名 より:

    ネットでは、ゼノブレ関連の話題は妙に荒れやすいのが残念です(元スクウェアの開発チームが任天堂の右腕になってるという事実が、ゲハ的にセンシティブなのでしょうか)。
    ただニュートラルに見れば、近年の日本製のRPGの中で非常に質の高い作品なのは明らかだと自分は思います。
    戦闘バランスやシステム関係で若干違和感のある部分もあるのですが、それを上回る美点があるのは間違いないでしょう。
    モノリスもまだ発展途上でしょうから、これからどんな作品を見せてくれるのか(次は新たなゼノシリーズ三部作?)期待大、です。

    • いちりん より:

      コメントありがとうございます!
      返信が遅くなってしまい、すみませんでした。
      私も、モノリスソフトさんの今後の作品にとても期待しています!
      ゼノブレイド3を遊んでいて、1・2の冒険の終着点であると同時に、ここからまた新たな歴史が始まっていくのだなと感じる瞬間が沢山ありました。
      システムや演出にも未来を見据えたような挑戦的な試みが散りばめられていて、良い意味で「まだまだ伸び代が沢山ある!」と感じたゲームなので、次に生まれる作品がとても楽しみです。

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